住宅グループ 名古屋英紀が最近思うこと。。。

「おうち時間」という言葉をよく耳にする様になりました。コロナ禍が一向に収束せず、外出を自粛する中で少しでも家にいる時間を有意義に過ごそうという事から、ステイホームというマイナスイメージの言葉より、暮らしに前向きにやわらかく表現した言葉なのでしょう。
 
この言葉からか、私たち建築家に住宅設計を依頼してくれるクライアントの要望も少し変化している様に感じます。特に最近話に上がる「職住一体型」、「カフェの様な〜」という言葉は、私の事務所でもよく聞くワードとなっています。前者は「必要な状況」後者は「ゆとりの心理」、話の発端は違いますが、どちらもいわゆる外出せずに家で過ごす時間を大切にしたいという気持ちが、強く現れていることからだと感じています。
 
ある若いクライアントが切に話す内容が印象的でした。
「対面し互いの空気感を感じながら仕事をする事は必要だとは分かっている、だが、不要な対人関係から解放されたい」
「街のカフェで友人とお茶をした、でもSNSにアップする写真に夢中でケーキの味や会話の内容を覚えていない」
 
皆、この様な不甲斐なさに少しずつ疑問を持ち、ストレスが飽和状態になったタイミングが偶然にもこのコロナ禍の今だったのでしょう。
 
 思うに「おうち時間」という言葉は、コロナ禍による自粛規制からやむを得ず生まれたものではなく、実は以前から潜在的に感じていた心の違和感がこの状況を通じて改めて思い起こされた言葉ではないのかと。
 このコロナ禍が収束したときこそ、本当の「おうち時間」が問われるのかもしれません。建築家の腕の見せ所ですね。
 
21時30分、私も早くお家に帰ろう。