再見「ロングランエッセイ」の+と-

50:「 札幌スタイル・デザインギャラリー 」住宅雑誌リプラン65号(2004年7月1日)
より一部転載

 この四月二十八日(2004年)に、札幌市が運営する「札幌スタイル・デザインギャラリー」がオープンした。小さな正方形のパンフレットは、爽やかな春の空を思わせる青色で、なかに繊細な白で雪の結晶が描かれていて美しい。誰もが欲しくなる。「札幌スタイル」のキーワード(ゆったり)(もてなし)(遊びごころ)をあらわしている、この美しいパンフレットを街じゅうに配布して、一気に「札幌スタイル」を印象づけることが、この運動のもっとも大事なことだと思う。電気製品をはじめとして、優れたデザインの家具や器やその他の生活用品が、評判になるようになってきている。このような風潮の中で、優れたデザインの商品をきちんと選定し、上手に紹介していけば「札幌ブランド」も夢ではない。
 オープンした「札幌スタイル・デザインギャラリー」には、札幌に関連して生まれた、デザインセンスの良い商品をいくつか紹介しているが、ここに並べられたものに囲まれていると、爽やかさを感じる。部屋に置く調度品についても建築家が強く執着するのは、調度品や日用品のデザインの質が、創った空間の質を大きく変える可能性があるからである。
 

+:  札幌には、ずいぶん前から木の椅子を造り続けている人が居る。以前は、茶の間用に直径1メートル五十センチの食卓テーブルを作ってもらっていたが、キッチンが居間に出てくるようになってから、少なくなったし、ゆっくり食事をしなくなった人が増えたせいで、肘掛けの付いた椅子も少なくなった。しばらくぶりに工房を訪れたら、座面に梟の子供がとまっているような椅子、というよりスツールを見た。若い女の子の「カワイイ」にぴったりである。モノを選ぶのに「カワイイ」を基準にすることは無いが、病院の入り口にあっても良いかもと思って、推薦したら、早速看護婦さんから「カワイイ」であった。そういった看護婦さんの笑顔が、みんなにつながるに違いないと思えた。「かわいい」も大事にしなくてはいけないに違いない。